
電気工事士の資格について、更新や有効期限が気になるという方も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、第二種電気工事士には更新手続きは不要ですが、第一種電気工事士には「5年ごとの定期講習」受講が義務付けられています。この講習を受けないまま放置すると、免状の効力が失われる可能性もあるため注意が必要です。
本記事では、資格区分ごとの違いや制度の概要、講習の受け方、失効を防ぐための対策までを図解とFAQ形式でわかりやすくまとめています。
現在のご自身の資格がどのような扱いになるのか、確認したい方はぜひ最後までご覧ください。
電気工事士資格に更新は必要?
まずは、第一種・第二種それぞれの更新の有無や、定期講習の制度について整理します。
第二種電気工事士に更新義務はありません
第二種電気工事士には有効期限はなく、更新手続き・講習も不要です。
ただし、以下の場合には届出や手続きが必要です。
- 氏名や住所を変更したとき
- 免状を紛失・破損したとき
- 登録電気工事業者として業務に従事する際 など
このような手続きは「更新」ではなく「情報変更」や「再交付」として扱われます。
第一種電気工事士には定期講習の受講義務があります
一方、第一種電気工事士には「5年ごとの定期講習」の受講義務があります。
これは、資格の有効性を保つための制度であり、講習を受けない場合は免状の返納命令を受ける可能性があります。
定期講習の概要は以下の通りです。
- 対象者:第一種免状を交付されてから5年が経過する人
- 受講頻度:5年ごとに1回
- 実施形式:集合講習またはオンライン講習
- 内容:電気工事に関する最新の法令・安全知識・技術動向 など
この制度は、「電気工事士法」第3条第2項、および省令に基づいて制定されており、現場の安全性確保と技術力維持を目的としています。
通知が届かないと受講漏れのリスクも
定期講習の案内は、免状に登録された住所宛に通知されます。引越しなどで住所変更を届け出ていない場合、通知が届かず受講漏れとなるケースもあります。
未受講のまま講習期限を過ぎると、免状が無効になるリスクもあるため、住所変更の手続きは早めに行うことが大切です。
第一種と第二種、資格の更新制度の違いを表でチェック
電気工事士の資格には「第一種」と「第二種」がありますが、資格の有効期限や更新制度の仕組みには大きな違いがあります。
特に、定期講習の有無や資格の効力維持に関わる対応が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
第一種電気工事士 | 第二種電気工事士 | |
資格の有効期限 | 事実上あり(5年ごと) | なし(無期限) |
更新手続き | 定期講習の受講が必要 | 不要 |
定期講習の有無 | あり(義務) | なし |
講習を受けなかった場合 | 免状の返納命令の可能性 | 影響なし |
通知方法 | 登録住所宛に通知 | 通知なし(制度自体がない) |
登録事項変更時の届出 | 必須(住所変更など) | 必須(住所変更など) |
第一種電気工事士の定期講習の対象者と受け方は?【オンライン対応も】
ここでは、第一種電気工事士の定期講習の対象となる条件、受講の流れ、講習形式、費用目安などをわかりやすく整理します。
対象となるのは「免状交付から5年経過した方」
定期講習の受講対象者は、第一種電気工事士の免状を交付された日から5年が経過する方です。以降も、5年ごとに継続して受講する必要があります。
この講習は任意ではなく、電気工事士法に基づく義務として定められているため、注意しましょう。
第一種電気工事士の講習案内は登録住所に届く
定期講習の案内は、免状に記載されている登録住所あてに通知が郵送されます。そのため、住所変更を行っていないと、通知が届かず受講漏れにつながることがあります。
住所変更や氏名変更があった場合は、速やかに各都道府県の窓口で免状の訂正手続きを行いましょう。
受講形式は「集合講習」と「オンライン講習」の2種類
2025年現在、定期講習は以下の2つの形式で実施されています。
受講形式 | 特徴 |
集合講習 | 会場に出向いて対面で受講/1日(約6時間程度) |
集合講習 | 自宅でPC・スマホ等を使って受講可/録画式+確認テストあり |
このうち、オンライン講習を選択する場合、本人確認用のWebカメラやインターネット環境が必要です。
受講の申込方法と費用の目安
講習の申し込みは、各実施団体のWebサイトから行えます。代表的な実施団体は以下のとおりです。
【EEI】電気工事技術講習センター
https://www.eei.or.jp/first-class
【ZND】全国電気工事業工業組合連合会(全電工連)
受講料は、概ね9,000〜10,000円前後(教材費込み)となっています。日程や地域によって変動があるため、申込時に公式サイトで最新情報を確認しましょう。
講習を受けないとどうなる? 失効・返納のリスク
第一種電気工事士の免状を保有している場合、5年ごとの定期講習を受けなければ、その効力が失われる可能性があります。
定期講習の受講は単なる努力義務ではなく、法律に基づいた“義務”です。未受講のまま一定期間が経過すると、免状の「返納命令」が自動的に出されるケースもあります。
再取得には再受験が必要なことも
一度返納処分を受けてしまうと、その後再び資格を使いたい場合、原則として試験を最初から受け直す必要があります。
再受験や再申請に時間とコストがかかるため、事前にリスクを回避しておくことが重要です。
受講漏れの原因の多くは「通知未達」
実際の講習未受講には、以下のような要因が多く見られます。
- 引っ越し後、住所変更を届け出ておらず通知が届かない
- 案内文を見逃して期限を過ぎてしまった
- 受講方法や対象であることを理解していなかった
定期講習を忘れないために!受講スケジュール管理のコツ
第一種電気工事士の定期講習は5年ごととはいえ、つい見落としがちです。
講習を受け忘れてしまうと免状の返納につながる恐れがあるため、事前のスケジュール管理が欠かせません。ここでは、講習を確実に受講するための管理方法を紹介します。
住所情報の正確な登録と通知設定を忘れずに
講習の案内は、登録された住所宛に郵送で届きます。
そのため、引っ越しや転勤をした場合は、必ず免状の住所変更手続きを行いましょう。
通知が届かない原因の多くは、登録住所の未更新です。
一部の実施団体では、講習時期が近づいた人向けにメール通知を送るサービスを提供していることもあります。Webサイトでの通知設定も確認しておくと安心です。
たとえば、電気工事技術講習センター(EEI)では、事前登録(登録者サービス)により、「講習のご案内」メール通知が受け取れるほか、メールマガジンで、技術情報や事故情報の更新通知も提供されています。
参考:電気工事技術講習センター事前登録(登録者サービス)
https://www.eei.or.jp/first-class/reminder.php
日程管理にはスマホのカレンダーやリマインダーを活用
Googleカレンダーやリマインダーアプリ、ToDoアプリなどに講習予定を登録しておくと、事前に通知を受け取ることができます。
リマインダーやToDoを活用する場合には、「5年先」ではなく、具体的な日付を指定するようにしましょう。
所属会社によっては、一括申請してくれるケースも
勤務先が電気工事業者の場合、会社が従業員分をまとめて講習申請・手配してくれるケースもあります。
不安がある場合は、社内で講習手続きの管理体制があるかを確認するとよいでしょう。
電気工事士の資格更新でよくある質問
ここでは、第一種電気工事士の資格更新でよくある質問とその回答をまとめました。ご自身が対象かどうか、今後どう行動すべきかの確認にもお役立てください。
Q:定期講習の通知が届かないのはなぜ?
A:免状に登録されている住所が古いままの場合、通知が届かない可能性があります。
定期講習の案内は郵送で届くため、引っ越し後などに住所変更の手続きをしていないと、通知が未達となるケースが多く見られます。
免状の記載内容に変更があった場合は、速やかに変更届を提出しましょう。
Q:集合講習とオンライン講習、どちらがおすすめ?
A:時間や場所の制約が少ないオンライン講習を選ぶ方が増えています。
ただし、受講にはネット環境やPC・スマホ、カメラなどが必要になります。
対面で講師の説明を直接受けたい方や機器環境に不安がある方は、集合講習が安心です。
※どちらを選んでも、講習内容と修了証の効力に違いはありません。
Q:受講後に何か提出しなければならないものはありますか?
A:基本的に、受講後の提出物はありません。
講習修了後に、実施団体から修了証が発行され、それが管轄行政に報告されるため、個別の申請や提出は不要です。
ただし、免状記載内容の変更などがある場合は、別途手続きが必要になることがあります。
Q:登録住所が変更になった場合はどうすればいいですか?
A:各都道府県の電気工事士免状窓口で、住所変更届を提出してください。
定期講習の通知が確実に届くようにするためには、転居後できるだけ早めの届出が推奨されます。
電気工事士資格の更新制度は正しく理解し、早めの対応を
第一種・第二種電気工事士の資格には、更新制度に大きな違いがあります。
とくに第一種を保有している方は、5年ごとの「定期講習」が義務づけられており、受講を忘れてしまうと免状の効力が失われる可能性もあります。
通知の見落としや住所変更手続きの遅れといった些細なミスが、再受験という大きな負担につながるケースも少なくありません。だからこそ、制度の全体像を正しく理解し、自分自身のスケジュールをしっかりと管理することが重要です。
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