計装とは
計装の「計」は計測器を、「装」は装備をするという意味です。なので、計測器を装備するお仕事を、計装士と言います。
鉄鋼、化学、石油、電気などの工場、物流、交通、通信に関わる施設や、事務所、病院、学校、ホテルなどのビルにおける適切な計測機器、制御機器、監視制御装置を計画して装備、運転管理する一連のシステムになります。計装工事を行い、施設に計測器を装備し、安全に稼動しているかどうかを測定することが計装の役割です。この計装システム全般に関わることが計装士の役割になります。
具体例
▼工場や施設内にある電気設備や機械を電線ケーブルで結び、中央監視装置から遠隔操作で運転や停止を行う。
▼室内の温度を一定に保つために、空調の冷凍機や膨張弁、ヒーター、ファンコイルなどで自動制御する。
計装士とはどんな資格?
「一般社団法人 日本計装工業会」が認定する民間資格です。自動制御機器など計測器の取り付けを行う工事や、それに関する配線・配管工事の設計、監督を行います。計装士の資格は建築施工会社や電気設備会社などの計装工事を行う企業で実務経験を積んだ人が取得することのできる資格となっています。資格を取得して、工事現場の監督をする立場になると、現場作業員よりも高い給与を得ることができるようになります。
試験について
受験資格
計装士試験は一定の実務経験を積む受験資格を得られます。資格を取得したい人は、まずは現場で経験を積み、業務全体の流れを把握することから始めましょう。
1級
①計装工事の設計・施工の実務経験5年以上で、指導的監督的実務経験1年以上を含む。
②2級計装士合格者は、実務経験4年6ヶ月以上で、指導監督的実務経験1年以上を含む者。
※指導的監督実務経験とは、工事の施工管理業務に従事した経験など。
2級
①計装工事の設計・施工の実務経験2年以上
試験詳細
▼受験料
学科:7,200円
実地:17,000円
▼申し込み
5月上旬~下旬頃まで
▼学科試験:マークシート方式
▼実地試験:記述式
▼範囲
○学科試験○ | ||
2級学科A | ・計装一般 ・計器 ・計装設計 ・検査と調整 |
|
2級学科B | ・工事施工法 ・安全衛生 ・法規 |
※1級には【学科A】に「工事の積算」が追加されます。
○実地試験○ | |
・工事計画/材料 ・製品の判定 ・計装設計計装工事設計 ・制御ロジック ・検査調整 ・安全衛生 ・計装工事材料積算 ・計装工事 ・工数積算 |
▼合格発表
学科試験:10月上旬
実地試験:翌年2月末
合格発表方法は、文書による通知及びホームページ最新情報での公式発表となります。電話での合否確認は行っていません。試験合格者には、3月末までに合格証書・計装士登録証を交付します。
▼難易度
近年の合格率は、1級学科:65.5%、1級実地:63.6%。2級学科:78.8%、2級実地:80.5%ほどになります。
計装士合格後の更新について
計装士登録証の有効期間は5年間です。
更新のためには、更新講習を受講する必要があります。当日は、計装士登録証を忘れずに持参しましょう。
▼講習会場:札幌・先代・神田・横浜・富山・名古屋・大阪・広島・香川・福岡
▼申込期限:各会場開催3週間前までになります。締め切り前に定員を超えた場合は締め切りとなってしまうので、早めに申込しましょう。
▼講習内容
①計装に関する新技術
②計装工事に関する法令・法規の改正内容
③計装工事の設計技術・施工技術
④計装設備の保守安全
▼更新講習料:13,370円
計装の仕事に向いている人
機械設備や電気機器に興味がある人が向いているでしょう。さらに、配線や配管に関心がある人、現場で一つのものを作り上げることが好きな人、細かい作業が好きな人、大規模なお仕事をしたい人、手に職をつけたい人にはオススメです。
電気だけではなく、産業、科学、医薬など、多くの業種がさまざまな計測機器を必要としているので、多くの人と関わることができるでしょう。そのため、コミュニケーション能力も重要になってきます。
計装は、工場の安全性や生産性の向上という点ではなく、省電力・省エネルギーにも大きく関係しているため、いろいろな工場で計装工事が進められています。
電気設備会社や建設会社などでも計装エンジニアが求められているので需要の大きい仕事といえます。そのため、計装士の社会的地位も上がってくるでしょう。目指す人は日本計装工業会が販売しているテキストを読んだり、講習会に参加して勉強すると良いでしょう。
年収について
勤務先によって異なりますが、約400~700万円程度あると言われています。
技術職のため、将来性を心配することはほぼありません。