消防設備士とは
消防設備士の制度は、1965年4月から開始されました。1965年当時は、高度成長期を経て大規模なビルやホテルなどの建築物が増加した結果、大きな火災も増えた時期といわれています。火災発生を重く見た政府は、消防設備を確実に設置することが急務と考え、消防設備士制度が開始されました。
消防設備士とは、消防用設備(消火栓やスプリンクラー、火災報知設備、バケツにはった水や乾燥させた砂なども消防設備のうちに入る)の工事や点検を行う資格のことをいいます。
消防設備士には大きく2つに分かれます。甲種は工事と整備・点検というすべての業務に従事できます。一方、乙種は整備・点検のみで、工事はできません。また、扱う消防設備によって8つに分類されます。
資格の種類 | 工事整備対象設備等 | |
甲種 | 特類 | 特殊消防用設備等 |
甲種、乙種 | 第1種 | 屋内消化千設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備 |
第2種 | 泡消火設備 | |
第3種 | 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備 | |
第4種 | 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備 | |
第5種 | 金属製避難はしご、救助袋、緩降機 | |
乙種 | 第6種 | 消火器 |
第7種 | 漏電火災警報器 |
資格を取得するメリット
年齢を問わずに募集している企業も多く、中高年の転職・再就職にも有利な資格とされています。
ビル管理・メンテナンス業務を行う企業にとって必須の資格となっているため、重要性も高まってきています。
消防設備士の資格を取得すると、「防火管理技能者」や「消防設備点検資格者」などの受験資格を得ることができます。消防設備士の資格を取得することによって、次へのステップアップも可能となります。
主な就職先
ビル管理会社/ビルメンテナンス会社/大手不動産会社/消防設備会社/防災関連会社
消防設備の種類とは
①消火設備
⇒消火栓やスプリンクラー、動力消火ポンプ設備、水を使わない泡の消火剤やガスの消火剤など
②警報設備
⇒火事が起きたことを知らせる非常ベルなど。熱や煙、さらに赤外線などを察知して自動で警報を鳴らすものと、人が手動で鳴らすものある。
③避難設備
⇒火事が起きているときに人が安全に避難できるための道具。はしご、スロープ、防火扉、避難口への誘導灯、窓を壊すオノのような道具も含まれる
試験について
受験資格
乙種消防設備士は誰でも試験を受けることができます。しかし、甲種消防設備士は、以下の受験資格が必要となります。
▼大学、短期大学、高等専門学校で機械、電気、工業化学、土木、建築に関する学課をおさめた者
▼電気工事士の資格保持者
▼建築士の資格保持者
▼乙種消防設備士の資格を取得したのち、2年以上の実務経験がある者
▼無資格でも一定の年数消防設備にかかわる仕事の実務経験があると受験資格を得られる
※以下の人は、筆記試験を一部免除で受けることができる
①消防設備士のほかの類
②電気工事士
③電気主任技術者
④技術士資格を持っている人
⑤消防団員として5年以上勤務かつ消防学校で一定の教育を終了した者
筆記試験 | ①消防関係法令 ②基礎的知識 ③消防用設備等の構造・機能・工事・整備 ※乙種の筆記試験も同じ内容ですが、工事に関する問いが無い。 |
実技試験 | 甲種:鑑別等と製図 乙種:製図のみ |
試験科目
筆記試験 ※四肢択一のマークシート方式 |
実技試験 | |
甲種(特類) | ・工事設備対象設備等の構造・機能・工事・設備 ・火災および防火 ・消防関係法令 |
実技試験なし |
甲種(第1類~第5類) | ・消防関係法令 ・基礎的知識 ・消防用設備等の構造・機能 ・工事・整備 |
写真・イラスト・図面等による記述式 |
乙種(第1類~第7類) | ・消防関係法令 ・基礎的知識 ・構造・機能・整備 |
写真・イラスト・図面等による記述式 |
合格基準
筆記:全体の60%以上、かつ科目ごとの出題数の40%
実技:全体の60%以上
受験費用
甲種:5,000円
乙種:3,400円
合格率
合格率は甲種が30%前後、乙種が40%前後。
ほかの資格試験と比較すると比較的取得しやすい資格となっています。
資格の更新について
消防設備士は、一度資格を取得したら更新のために試験を受けなおす必要はありません。消防設備士の資格を取得した後は、各都道府県で行われる講習を受講することで、更新完了となります。
最初の資格取得後2年以内、その後は5年以内毎に講習を受けましょう。
消防設備士の年収
平均年収は約400万円です。企業によって違いますが、大手企業の場合:約500万円~700万円、中小企業の場合:約300万円~400万円といわれています。
独立する場合は約800万円の収入が可能となっています。消防設備士としてキャリアアップだけでなく、年収アップも狙うなら独立するのが近道でしょう!独立という選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか?